ガーゴイルの町には珍しいヒューマンのお店が、ロイヤルシティのソウルフォージ広場のそばにある。
練成修行にソウルフォージに良く通っていた頃、ひょんな事で気がついてから、時々のぞいて買い物をすることがあった。
なじみの客というわけだ。
そんな事もあって、割と気安い。
時々頼まれごとを引き受けることがあったのだが・・・
こんにちは。
それじゃまた。
・・・ごめんなさい、落ち着きがないのはわかってるんだけど、助けてくれないかしら?
母と一番上の姉がもうすぐ訪ねてくる予定なんだけど、
今から何かプレゼントを用意したいの。
うちの姉は小粒のホワイトチョコレート[White chocolate]が大好きなんだけど、
普通のガーゴイルは見向きもしないものなので、ここでは手に入らないの。
母は先ごろ誕生日で、ガーゴイルのすてきな宝石細工が大好きなの。
でも、宝石職人が母が好きな宝石の在庫をずっと切らしたままで・・・。
ホワイトチョコレートを5個とダークサファイア[Dark sapphire]を1つ、持ってきてくれないかしら?
ホワイトチョコレートにもいろいろあるみたいだけど、姉に渡すんだから普通のチョコでお願いね。
恋のメッセージ入なんかじゃダメよ。
お礼になかなか手に入らない練成素材の詰まったバッグを差し上げるわ。
どう?
チョコの材料はパラゴンクリーチャーのドロップだし、ダークサファイアは貴重だしなぁ・・・ちょっと、ごめn・・・
ああ、そんな!お願い、引き受けるといって!
なんとも絶望的な顔で声を震わせてそういう
そんな顔されると嫌とは言いにくい・・・
仕方ないので引き受けることに。
5個の普通のホワイトチョコレート[white chocolate]と、ダークサファイア[dark sapphire]が1つです。
急いで!
数が揃ったら渡してくれるものを指定して教えてね。
それとホワイトチョコレートは必ず普通の小粒のものでお願いね!
姉に渡すんだから恋のメッセージ入じゃ困るのよ。
・・・念の入ったお願いで・・・
ハート箱に入ったバレンタインのチョコじゃダメって事ね。
でも、昔のバレンタインチョコなら、いける・・・もう、だめなのね。
ダークサファイアはストックがあるから良いとして、チョコの材料が・・・
砂糖袋にココアバターにバニラにピッチャー入のミルク。
ミルクは細工屋を出てすぐ左の農家の出店で手に入る。
じゃなくとも、宿屋か酒場で売ってるし、空のピッチャーがあれば直接牛から絞って入手できる。
が、しかし、砂糖袋・ココアバター・バニラはイルシェナーでパラゴン倒さないと・・・
しかも、ドロップ率が妙に悪い。
手っ取り早いのは、霊性エリアの天使湧き1段階Shadow Wispかな。
もしくはそのすぐ脇の山の中にあるHarpyの巣なら湧きも早いし・・・
最悪、Pixyを・・・頭(かぶり)を振り、カルマが下がるそのおこないへの誘惑を振り切る。
と、1時間ほど粘ったがなかなかでない。
くじけそう。Pi・・・いやいや。。。
ココアバターは、料理スキルで作れるけど、
材料のココアの実は、(やっぱり面倒な)ガーデニングで育てるココアの木から採れるそうな。
何度か通って、やっと必要な材料そろえて料理スキルでホワイトチョコを・・・
!
一番難しいんじゃんか。
料理上手といわれた、GMクッキングなうちのアバターをして二回に一回ぐらいしかうまく作れない、、、らしい・・・
料理タリスマンのご加護をもってもやっと八割成功ていど・・・
何度か(何度も)失敗して、なくなる材料を補充して、なんとかそろえて疲労困憊・・・
ああ、本当にありがとう!
いや、お礼の言葉では本当に足りないくらい感謝しているわ。
さぁ、これはお礼よ。
このダークサファイアを美しくカットして、母が気に入るようにしないと!
それじゃ!
そう言って笑顔で袋を渡してくれた。
その笑顔で疲れも吹っ飛ぶ思いだ。。。と、思うことにしよう。
店を出て袋の中身を確認してみた。
シルバースネークの皮だ。
なんでか、戦士風の男が寄ってきて、それを見てニヤニヤしながら言う。
「ああ、あの女また適当にモノを詰込んだな。」
それが何を意味しているのかは知らない。
なんでかザー女王の笑顔が脳裏に浮かんだ・・・