光晶洞には、おそらくニュジェルム島には海に面する崖の何処かにある洞穴が光晶洞奥につながっているらしいが、ヒューマンの採掘場になっている場所がある。
ここは、妙な敵性生物から隔離された安全地帯として、光晶洞を探索する冒険者たちの安息所となっていた。
だったら、入場料なんぞ払わなくとも、そこから入ればイイのでは?とも思うが、
聞いた話ではその海の入口は干潮時の僅かな時間にかろうじて入る事ができるだけなので普段は使えないのだそうだ。
代わりに、ヒーラーと武器屋・細工屋・魔法屋が待機していてくれる。
冒険者支援グループとは、本当に有難いものだ。
といっても、別に首からレベルを示した冒険者カードをぶら下げているわけでもないし、
レベルアップのたびにレベルアップの歌を歌うわけでもない。
でも、シルバーリーブの印刷屋さんが発行している冒険時代という雑誌は楽しみにしている訳だが、それはまた別の話。
それはそれとして、この細工屋がちょっと挙動不審とうか、、、いきなりこんなことを頼まれた
[依頼]
ウワァァァ
なんということだ!
わ、我輩の幸運のダガーがなくなってしまった。
あれは父君から、最後の贈り物として譲り受けた形見だというのに。
その刃は何代も引き継がれてきた、先祖伝来の家宝。
我輩はそれを取り返さなければならない。
グスッ、そこの旅のお方。
どうか、我輩のダガーを探し出してくれないか。
と、言われても、、、残念だけど。。。
ウッウッ、助けを求める哀れな者を見捨てるおつもりか。
と、言われても・・・
どうも光晶洞とは相性が悪い。も少し強くなったらガンバルね。
一応引き受けるけど、いつになるかわからないよ?
*ズビズビ*
ダガーは何者かに盗まれたか、あるいは何処かで落としたのか・・・・・・。
そんなことはより、今、重要なのは、貴公が我輩のダガーを見つけ出し、それをここまで届けることです。
以下次号!
・・・
とまあ、そんなこんなで幾年月。
光晶洞から足が遠のいて、いくつの日の出を数えたか。
伝説の吟遊詩人と呼ばれるようになったある日、ふとこのお願い(も含めて光晶洞での依頼の数々)を思い出す機会が。
ニュジェルムでイベントが有って参加したわけですよ。
散会の後、ニュジェルムの町をブラブラしていて光晶洞入口近くで
儲かりまっかー?ぼちぼちでっかー?
と。
ああ、光晶洞にはしばらく来てないな。
・・・そういえば、、、と言う次第。
まあ、相変わらず、その入口付近では儲かりまっかー!?とダフ屋が10000gという暴利を貪っている。
数々の約束を果たすため、仕方なく払う訳だが、ビンボーな私としてはチト痛いわけで。
入口からクリスタルデーモン部屋までは、まあ慣れたもんというか楽勝なわけだけど、
どうもクリスタルに限らずヒドラとかシーサーペントとは相性が悪い。
この先に連中がいるのはわかっていて、バックを再確認したら、偶然にもドラゴン特攻なんぞを持ってきてたわけで。ラッキー♪
ほとんど失敗することもなく、扇動やら鎮静やらでクリスタルヒドラをかわし、
クリスタルシーサーペントにけしかけ次の部屋に滑り落ちる穴の手前まで、今までになる楽に来れたですよ。
かなり楽だったので、気を良くして戦利品を回収しようとしたわけだけれど、、、
それとは別にココはエライ寒い
クリスタルシーサーペントの泳ぐ河が異常に冷たいんだ。
近づくだけで、、、
皮膚を貫き、骨にまで達するかのような冷気が、水面から発せられています。
てなもんで、ダメージを受ける。
冷気抵抗が低ければ近づくこともできねーorz
毛皮を着込んで熊帽子を被ってきてて本当に良かった。
などと埒もないことを考えながら戦利品を探っていると「誰かのダガー」がクリスタルシーサーペントの腹から出てきたわけで。
いつもならダガーなんかノータイムで捨てちゃうんだけど、
手にとったその刃の見事さは日本刀の刃文や冴えた沸の美しさに勝るとも劣らないと感じるほど引きこまれてしまい、
捨てるに忍びなくバックにしまったのは偶然だったのだろうか?
いやいや、ちゃんと覚えていたわけですだすでむでん。
鬼門だったヒドラ部屋を過ぎてエレメンタル部屋を走りぬけ、安全地帯に滑りこむと、件の細工屋が私を見つけたのだろう、明らかに二度見をするほどに驚いてこちらに走り寄ってきた。
まいったね、伝説とまで呼ばれるようになった吟遊詩人たる私の噂はここまで轟いているのか。
しばらく放っておいたバツの悪さ。
しかし自分の願いを叶えてくれるであろう伝説の吟遊詩人の到着に興奮し駆け寄る彼だが、
私としてはちょっと引け目を感じながら挨拶を、、、しようとしたがヤツは私を見ていたわけではなかった。
カバンから覗く例のダガー
目ざとくそれを見つけた彼は頬を紅潮して叫ぶ。
我輩のダガーが見つかったのですか!?
そして、それしか見えない風に私を押し倒しダガーを手に取り泣きながら頬ずりをはじめた。。。
あっぶね。そういえば、ダガーを見つけに来たんだっけ。
ココには他にもいろいろイロイロ宿題を残してるから忘れてた。
しかし、確かに見事なダガーだ。
必死に探すのは解る気がするが、それ以前に失くすことが信じらんねー。
そう思いつつ、喜ぶ彼から受け取った報酬の入ったバックがイヤに軽い事に気がついたのは光晶洞を立ち去るためチケットをWクリした直後だった・・・
文句を言いに戻るにせよ、、、だ
儲かりまっかー?ぼちぼちでっかー?
奴に金を払う気にはならない。