グレイゴブリンの巣に紛れ込んでしまい、うざったいので連中をまいて巣の奥に来てしまった。
・・・まいたと思ったんだが、その先にまたグレイゴブリンが居やがった。
仕方なく武器を構えたんだが、襲ってくる気配がない。
連中の顔色はまるで分からないが、なにか言いたそうだったので話を聞いてみた。
[依頼]
アビスの地下川を泳ぐレッドへリング[Red Herring]を釣り、バレラーク[Barreraak]に渡して報酬を受け取れ
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グリーンゴブリン殺すからお前は同じ!
お前は大きいだけの、グレイゴブリン。
それほど灰色じゃないが。
バレラークが言いたいことはだな... 釣りはいい。
魚、川にいる。
グレイゴブリンは魚を釣る、釣って肉にする。
ロットワームほど美味しくないが、いつでもロットワームは食べられない... ゴブリンは太りたい。
ゴブリンの王がコンテストをひらく。
特別な大きな赤い魚を捕まえる。
レッドヘリング[Red Herring]は食べると美味しい。
捕まえるのは大変。
バレラークはいつも場所を間違えてしまう。
おかしい。
バレラークは提案する。
お前は、レッドヘリングを捕まえてバレラークに渡す、バレラークは何かいいものをやる。
バレラークはレッドヘリングを王のもとに持ち帰って英雄になる。
どうだ、この提案?
アホか。
なんでグレイゴブリンなんかの提案を聞かなイカンのか。
骨髄反射的に断っている自分がいた。
別にいい。
バレラーク自分でやる。
もしかして別のトモダチが捕まえてくれる。
自分でできるんならやればいいじゃんか、と思ったがよく考えてみると釣りをするだけの話だ。
フィッシュモンガー魚商人のクエスト頼みのついでにやってやれば良い事に気がついたわけだ。
しかし相手はゴブリンだ。
普通に引き受けるのはよろしくない。
できるだけ尊大に、「引き受けてやる」ぐらいの態度でいどまないとどんな難癖をつけられるか解ったもんじゃない。
この小さな灰色子鬼を目一杯見下した言いようで引き受けた。
レッドヘリング釣る、とても大事だ。
釣ったレッドヘリングには、ちゃんと印つけて教えろ。
そしたらバレラークがいいレッドヘリングか調べる。
相手も負けじとデカイ態度で応じてきやがる。
全く小憎らしい。
ふん、お前には大事でもコッチはついでの話だ。
勝手に待ってろ。
なんかむかついたので、川に出る道にたむろっていたグレイゴブリンを数匹屠ってやった。
もちろん、あいつらから襲ってきたんだ。
正当防衛である。
少しからだの大きな奴に手こずったが、所詮はゴブリン。楽勝だった。
ちょっと気分を良くして、釣りに挑んだ訳で♪
ダンジョンで釣れる魚は非常に珍しいものが多い、しかしどうも見た目が悪い。
フィッシュモンガー魚商人がなんでこんな魚を欲しがるんだろうと、ずっと不思議だった。
でもね、物事には必ず理由というものがある。
シーマーケットで出された、非常に美味しい魚料理の材料がこの見た目のグロい魚だと知った時のショックと言ったら!
全く、信じられない。
なんてことを思い出しながら釣りをしていると、やにわに釣竿がとてつもなく強い引きにおそわれた。
体ごと持っていかれそうになったが、なんとか踏ん張って、長い格闘の末にとても大きな真っ赤な魚を釣り上げた。
レッドヘリングを釣り上げた!
まるで燻製されたかのような赤いニシンを川で釣り上げるとは何たる驚き!
なんてこった!
レッドヘリング-赤いニシン-って言うから、せいぜい数十uocmかと思っていたら、1uomを超えてるじゃねーか。
完全に舐めきっていたわ。
こんな重いもの持って帰るのはメンドクセー
幸い、グレイゴブリンの巣の近くの石橋で釣っていたから、早速持っていった。
ああ、これはいいレッドヘリング。
これでバレラークはグレイゴブリンの新しい王になる。
最初にここに来た時、お前は前の王を倒してるから。
新しい王のバレラークは特別な指輪をやる。
ゴブリンを倒しやすくなる。
バレラークを新しい王と呼ばないゴブリンを。
王?
・・・
もしかして、さっきの体の大きなゴブリンか?
なんてこった。
知らず知らずに、この野郎の喜ぶことをしちまっていたってのか!
まったくもって気分が悪い。
さらに気分がわるいことに、報酬として渡された指輪を面白半分にハメてみたらグレイゴブリンに変身しやがった。
さらに気分が悪くなったところで、せっかくこの見た目だからとゴブリンどもを騙し討してやろうかと近づいたら、臭いで気が付かれたらしい。
なるほど、ヤツらは見て襲ってきてるんじゃなくて、臭いを嗅いで襲ってきやがるんだ!
ああクソっ!!
さらに!さらに!!気分が悪いっ!!!