やあ、こんにちは。
ちょっと急ぎでお願いしたいことがあるんだけど。
そう言われ、足を止めたのが運の尽きだったわけだ。
[依頼]
おお、よく来てくれた。
ニュジェルムの地下深くに怪物が現れたせいで、
あの辺りの天然水晶にまで汚染が広がっているようでね。
ねじ曲がったエネルギーを吸収してしまい、
何らかの生命体に進化したようなのだ。
こんなものがソーサリアに生まれてはろくなことはない。
クリスタルデーモンを退治してきてくれないか?
このエルフはいきなり何を言い出すのか。
たしかに、ニュジェルムで不穏な空気が流れているのは知っている。
光晶の採掘坑道がエルフの帰還の地殻変動で海に没し、
さらに封じられていた邪なエネルギーが開放されたという話がまことしやかに噂されていた。
だが断る!
そんな怪物を野放しにしておくわけにはいかないんだ!
蒼い顔をして必死に懇願する彼には同情を禁じ得ない。
それはそうだろう。
妙な気が充満するあの光晶洞は直感的にヤバいと感じる。
だが、私はあそこに良い印象がない。
何度かもぐったことがあるのだが、魔法生物がウヨウヨしていきなり魔法攻撃を受けること一再ではない。
実に危険な場所なのだ。
・・・そう考えると、確かにあそこを放っておくのは危険過ぎるのかもしれない。
クリスタルデーモンとは幾度か戦ったこともある。
敵わないと思えるほど強くはない。
一体づつなら十分戦える。
様子見に行くにも、ただ働きというよりマイナス10000g確実(入場料取られるから・・・)
だったら、少しでも報酬を貰える仕事を引き受けて行くのが賢いというもんだろう。
そんなこんなで、あまり気は進まなかったが、放っておく怖さも感じて光晶洞へ向かうことにした。
もちろん仕事を引き受けて。
時間がない。水晶の化け物など、生かしておいては大変なことになる。
送り出してくれた彼はそう言って心配するが、なるようにしかならん。
それでなくとも、光晶は人の欲望を掻き立てる。
ニュジェルムが歓楽の町であることも追い打ちをかけ、
欲望を源とするエネルギーが充満しているような気がする。
いや、あの邪な気配が欲望を呼び寄せるのか・・・
いずれにせよ碌なもんじゃない。
さっさと偵察を済ませよう。
久しぶりの光晶洞は、きらめく光晶に彩られ、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
決してフインキではない。何故か変換できないとか言わない。
とかオチャラケてないと、なんか正気を保てない感じだ。
入口から割りとすぐに件のクリスタルデーモンの広間に出た。
目の前に3体・・・扇動、、、をかけられない?
これで慌てたのが悪かった。
魔法の集中砲火を受け、逃げ出したわけだが、チケットの魔力を完璧なまでに忘れていた。
逃げまわって、毒魔法に侵され、集中砲火を受けた上にヒドラに部屋に逃げ込んでわけのわからんブレスをうけて、、、死んだ。
死んだ後は、冷静に戻るあたり、死にマニアの素質・・・ではないぞ。
必ず生きて帰るんだ!
そう言いながら、イスカンダルを宿しながら一緒に残って死ぬとか使命感に欠けたマヌケな事を言い出すアホシナリオを思い出しつつ、
奥の安全地帯で生き返り、再突入。いそいで回収をする。
再度、落ち着いてクリスタルデーモンに挑む訳だが、なんでさっき死んだのか訳がわからない。
一体づつ鎮静をかければ、まず襲われない。
EV放つとアッサリ転がった。
なんてこと!
なんでさっき死んだのか!!
自分の力量の低さにビックリだorz
吟遊詩人としては伝説と呼ばれても、中の人の冒険者としての戦闘能力皆無じゃんか。
あまりのことに落ち込んだまま帰ったわけだが、、、
私の顔色を見て彼はすべてを察してくれたのか、何も言わず、ただ報酬を差し出しながら軽く肩をたたいてくれた・・・